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プライベートエクイティファンド(主として、ベンチャーキャピタルファンド、バイアウトファンド、ディストレストファンド)が成り立つのも、ヘッジファンド、アクティビストファンド、デイトレーダーなど投機家のおかげである。 プライベートエクイティファンドは、一般にその会社の株式を100%(あるいはそれに近い水準)取得する。
売却することによって、利益を得るビジネスモデルである。 つまり、その会社を売却する時は、比較的まとまった金額の株式を市場で短期間に売却するのが普通である。
売却価格を値引けば、投資家は儲かるが、ベンチャーキャピタルファンドは儲からない。 ファンドの運用成績が悪化すれば、当然、資金は集まらない。
資金が集まらなければ、第二、第三のグーグルを発掘したとしても、十分な投資ができず、産業界の求める資金供給ができない。 それでは、技術力はあっても、資金力の乏しいベンチャービジネスは成長機会を逃してしまう。
そのためにも、流動性を提供する投機は必要なのである。 提供するのが、ヘッジファンド、アクティビストファンド、デイトレーダーなど投機家である。
言い換えれば、投機なしに投資はあり得ない。 このように、「投機マネー」と「投資マネー」は、金融市場という車繰り返しになるが、産業と金融は、資本市場においては車の両輪なのである。
米国のものづくりが強いのは、偶然ではない。 こうしたリスクマネー供給や投機の厚みが、新興企業の育成、成熟企業の活性化を促進しているのである。
そこで重要なのが流動性である。 プライベートエクイティファンドは、一度に100億円単少ない金額の株式しか売却できない。

あるいは、公開時の売却価格を大幅に値引きして売ただし、今回の米国の金融危機発生によって、そうした米国の勝利の方程式に変化が生じるかもしれない。 今回の金融危機で、投資銀行が事実上消滅し、従来のようにリスクを厭わない資金の供給は大幅に減少する可能性がある。
リスクマネーの最大の供給者、あるいは媒介者は、米国の投資銀行であった。 投資銀行の資本規制などは、銀行と比較して相対的に緩い。
このため、投資銀行自らリスクをとって、リスクマネーを供給してきた。 ところが、大手投資銀行はすべて商業銀行に転換した、あるいは銀行傘下入りしたため、国際決済銀行(BIS)の自己資本規制の対象となる。
BIS規制では、国際業務を行う銀行の自己資本比率は8%以上であるとされている。 そうなると、レバレッジ倍数は最大9・5倍である。
通常、大手銀行の自己資本比率は5〜10%あるため、レバレッジ倍数は最大7,8倍となる。 しかも、今後の投機的な行動について、同時に、厳しい規制がかかることであろう。
資本市場においては車の両輪である産業と金融のうち、金融の力が弱まれば、産業の競争力にも影響が出ることは不可避ではなかろうか。 失業保険、生活保護などのセーフティーネットを十分に用意すべきだが、資本主義経済の原則は、あくまでも弱肉強食である。
これまで、米国は、競争力のない会社が淘汰されることを許容し、その結果、世界的に競争力のある会社のみが生き残るという資本主義経済の原則を重視してきた。 かつては、米国の主力産業であった繊維、鉄鋼、テレビなどは淘汰されたが、これらを無理に維持するコストが比較的少なかったものと思われる。
ところが、米国の自動車会社救済に見られるように、資本主義経済の原則を逸脱したとも思える政策が実行される懸念がある。 資本主義経済の原則を逸脱した社会主義的な政策を実行すれば、短期的に、経済の落ち込みを緩和できることは事実である。

自動車会社が、化学会社も、コンピュータ会社もすべて救わなければならないということになりかねない。 これでは、長期的に経営の甘い会社を温存することになり、過当競争が生じかねない。
その結果、勝ち組企業まで体力が低下することもありえる。 90年代後半から21世紀初頭に、安易な債権放棄によって、本来ならば倒産すべき企業まで生き残り、勝ち組企業まで体力が低下した日本の失敗にも見られた現象である。
資本主義経済の原則を逸脱するようでは、長期的には米国経済の成長力が低下することになりかねない。 そのリスクが高まりつつあることが懸念される。
金融・資本市場の国際化、利便性の向上が実現すれば、日本経済全体にとって大きなプラスの効果を生むこととなろう。 1500兆円の個人金融資産の有効活用、企業にとっての利便性の向上、世界的なビジネスセンターとしての東京の機能強化、金融業の育成による経済効果などが期待される。
国際金融センターの育成には金融・資本市場の国際化が不可欠である。 同時に、日本に有力な国際金融センターが存在することは、金融・資本市場の国際化を促進することであろう。

その意味では、この両者は不可分である。 国際金融センターの育成、あるいは金融・資本市場の国際化の議論は、さまざまな要素が混在しているものも少なくない。
こうしたことを踏まえたうえで、次の3段階の戦略を個別に議論することが望ましいと考える。 資本主義にはその言葉どおり資本が不可欠である。
その資本の調達、運用、譲渡が自由に低コストでできれば、国内外の投資家、企業などに大きな利便を与えることが期待できる。 よって、日本経済や産業活動において金融が果たす役割を高めることが望ましい。
高度な金融機能の集積、つまり国際金融センターが日本に存在すれば、資金調達、資産運用、M&A、リスクヘッジの分野のサービスを向上させることが可能になろう。 特に、個人金融資産の運用の活性化は重要であると考える。
東京が世界的なビジネスセンターとしての機能を持つことは、日本経済全体にとって大きなプラスである。 東京が世界的なビジネスセンターであるためにも、国際金融センターとしての機能強化が必要である。
国際金融センターである。 世界各国の有力な企業、投資家が多く集まることにより、世界の情報に生に接する機会が増加すると思われる。
金融が栄えれば、付随したプロフェッショナルサービス、つまり法律、会計、税務なども栄える。 あるいは、ホテル、飲食、空港、交通、教育機関などにもメリットがある。
これにより、日本経済、企業にメリットをもたらすであろう。 また、東京の発展も期待できよう。

日本で金融業を振興し、日本の金融機関の競争力が増大することが好ましい。 金融業の成長が、日本の成長に貢献することが期待できよう。
国内外を問わず、日本で金融機関が繁栄すれば、それに伴い、税収増などが期待できる。 世界的な国際金融センターとして最も重要な金融、証券流通市場としては、ニューヨークが圧倒的に大きい。
ロンドン自体の市場はそれほど大きくないが、後背地である大陸欧州を含む欧州の流通市場は大きい。 また、香港の市場規模が急速に拡大している。
それに対して、東京の地盤沈下は目立つ。 03年末の世界の株式指数時価総額構成比は、米国が27・9%、欧州が17%、新興国が8.7%、日本は17%である。
株式の流通市場が大きいと、必然的に株式のみならず、債券の発行市場、M&A市場など投資銀行業務も拡大する。 融資やスワップなどの為替取引も派生する。
流通市場の拡大には、上場企業の増大、株価上昇が必要である。

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